「写真と工芸のまち東川町と中原悌二郎美術館を巡るバスの旅」 高橋大作
台風7号が前日日本海を通過した翌日8月18日、まさに台風一過絶好の日和のもとバスツアーが
行われました。目的地は東川町と旭川市です。20年間リーダーシップをとられた前町長の松岡市郎さんは、町づくりのポイントは「デザインとアート」だと話しておられます。わが友の会もデザインとアートを重んずる会でありますので、東川町に興味がわきました。松岡さん曰く「デザインは、住民のニーズに沿った短期目標の政策、アートは首長や職員が描く未来の町の姿を実現するための政策」だそうです。上水道、鉄道、国道の「三つの道がなく」大自然と文化政策の高さがありきたりの町ではないなと、感じました。大雪山系の麓に近く素晴らしい景色、そして「写真文化首都」をかかげ、写真の各種コンテストなどを開催し、全国初の公立日本語学校を開設して外国の若者たちがいきいきと生活している町。また当時旭川の大学におられた磯田憲一さんがアイデアを出され、2006年から旭川家具の工房が多い東川町も早速動き出した「君の椅子プロジェクト」。これはその年に誕生した子供たちに椅子をプレゼントするものですが、一流のデザイナーが絵をかき、東川町の木工作家が制作するというものです。
人口8500人の町の中心部にはモダンな「せんとぴゅあⅡ」という建物があり、5万冊の新しい書籍がある図書室、世界の椅子のコレクションを順次入れ替え展示するコーナー、木工芸の作家が多い町ならではの作品の展示と販売をするコーナー、そして歴代の「君の椅子」のサンプルが展示してあるコーナー、これらが混然一体となった建物が「せんとぴゅあⅡ」です。北海道でも数少ない毎年人口が増加するのもむべなるかなという感がする文化の香り高い町でした。このあと旭川市へ向かい、中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館を訪れました。この美術館は1902年(明治35年)に建設されたコロニアルスタイルの旧旭川偕行社で、歴史の重みを感じさせる重要文化財の建物です。彫刻美術館として素晴らしい雰囲気のある施設でした。到着してすぐに当会と同様の市民活動をしておられる「旭川彫刻サポート隊」の宮島隊長さまがお迎えくださり、彫刻を愛する同志とお会いしたという思いがいたしました。選りすぐりの中原悌二郎の作品をしばし鑑賞し、余韻を味わいながら札幌への帰途につきました。