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9月1日学習会報告 《木下成太郎像》の調査

8月31日に行われた武蔵野美術大学・黒川先生の彫刻セミナーに続き、9月1日は午前10時30分から中島公園の朝倉文夫作《木下成太郎像》の調査・清掃を行いました。

まず、水洗いをした後に基壇の穴からファイバースコープによる内部調査・・・ブロンズ像本体と基壇をつなぐ鉄製のボルトが腐食し、安全性に問題があることがわかりました。その後、1年ぶりにワックスを塗る作業を行いました。清掃道具の選択の仕方、蜜蠟の希釈方法から塗り方、磨き方まで「美術館の作品の清掃・保全を引き受けられるようにきちんと覚えた方が良い」と黒川先生と二人の助手さんに教えて頂きました。自分で彫刻作品を作り上げるようにワックスを磨き上げると、いかつい表情だった木下成太郎が温和な顔に見えてきます。

詳しい清掃手順とワックス作業については次回の学習会(9月26日Lプラザにて開催予定)での勉強課題とします。今後の友の会の清掃作業スキルアップに大いに役立つ、有意義な一日でした。

(髙橋)

2-JP?B?GyRCQXwhVSEhQDZBXThlGyhCLkpQRw= ファイバースコープ画像をパソコンに取り込む黒川先生 水洗い 清掃道具

2016/09/04 大通公園彫刻清掃(西7丁目、資料館前)

残暑厳しい中での清掃でした。
本日は、大通公園西7丁目にある『漁民の像』と、札幌市資料館前に設置されている『若い女の像』の清掃を行いました。

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気温は高かったのですが、時折吹く風が心地よい一日でした。
大通公園は既にオータムフェストの準備が始まり、飲食店スペースが立ち並んでいます。その喧噪の物陰に隠れてしまった漁民之像は、土ぼこりや鳥のフン、木の小枝などでかなり汚れていました。

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漁民之像は正面から見ると大きくどっしりとした見た目と印象をしていますが、よくみると漁網の目やヒダ、服のシワ、そして裏側や台座部分は貝や錨があり細かい装飾が全体的に施されています。漁夫の背中にはカモメも。

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カゴのニシン、網の裏部分の構造がかなり複雑ですので、まずは全体をホースで強めに洗い流しをします。

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ホースとバケツで水洗いした後は、像を雑巾、台座をデッキブラシで清掃しました。
今回も清掃に参加していただいた、全盲の越山さんも手で形状を確認しながら、丁寧に雑巾で磨いていました。

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写真では確認しづらいかもしれませんが、お母さんの鼻、そして子どもの指にペンキらしき痕跡がありましたので、載せておきます。付着してからかなり時間は経っているようで、水では落とせませんでした。大通公園では毎年頻繁にイベントが行われているので、イベントの準備作業で飛散してしまったものでしょうか。

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水洗い後はワックスがけ。

予めケロシンで溶かしてあった蜜蝋原液(1/3)を更にベンジンで約5倍に薄めて使用しました。
ワックスの調合は橋本会長がバーテンダーのような鮮やかな動きで。

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ワックスで表面も輝き、とても綺麗になりました。

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彫刻家の田畑さんが最も苦心した網の部分もすっかり綺麗になりました。
ニシンも活きを取り戻したかな?

 

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札幌資料館前のバラ園に移動し、『若い女の像』も清掃しました。こちらは噴水とバラ園に囲まれた環境のおかげか、非常に綺麗な状態でした。噴水の中に設置されているため清掃するには足場の良くない場所でしたが、漁民之像と同じく水洗いとワックスがけを行いました。

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彫刻清掃に参加したみなさんお疲れ様でした!

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次回もよろしくお願いします。

2016/8/27 中島公園彫刻清掃(キッズガーデニング)

暑さも和らぎ過ごしやすくなってきました。
秋も間近になった中島公園で本日、キッズガーデン参加のみなさんと彫刻たんけんを実施しました。大人5名、子ども17名、そして私の友人4名にも手伝っていただき、今回も賑やかな彫刻清掃となりました。

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先月、大雨のため中止になってしまった「かもくま祭」のツアー用に作られた手旗、
今回は大活躍でしたよ!

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先日のパーマシールド塗装で表面が美しく輝いていた「母と子の像」。
太陽の光を浴びて光っていましたが、お子様方の積極的で丁寧なお掃除により更にピカピカツヤツヤになりました。

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山内壮夫が子ども達に面白く遊んでもらうために開けた穴で遊ぶ、清掃後の子ども達。
「おかあさんの背中みたい」という声も。

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そして、同じポーズをとってみたりして。彫刻の親子の気持ちになってみました。

 

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もう一方のグループでは「ネコとハーモニカ」「鶴の舞」のお掃除をしてもらいました。
こちらも親しみやすく遊びやすい彫刻作品。子ども達も楽しみながらお掃除できたみたいです。

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鶴の舞は子ども達にとって背の高い彫刻ですが、協力しあって、なんとか綺麗になったかな?

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最後は「笛を吹く少女」をお掃除してもらう予定でしたが、ちょっとキッズガーデンのご都合で、彫刻探検はここでおしまい。友の会のみなさんで、清掃を行いました。無事4点、彫刻清掃完了です。

今回、子ども達は抽象的でちょっと面白い形に興味をもって、率先して洗ってくれたり、同じポーズして非常に楽しんでいたようでした。また親御さん方からも、彫刻を立ち止まってじっくり見る事が無かったので初めて興味を持った、といったご意見がありました。野外彫刻作品は触ってはいけないものではなく、もっと親しみを持って触れても大丈夫と気づくきっかけになれてよかったですね!また次回も年齢関係なく色々な人を交えて、彫刻に興味を持ってもらえるような彫刻清掃をやっていきましょう。

ところで、突然ですが今話題の「ポケモンGO」はみなさんもご存知でしょうか。GPSを使ったスマートフォンゲームで、実際に街を歩くことで「ポケモン」というキャラクターを見つけたり、捕まえて集めたりすることができます。その中で、特定の地点(ポイント)でポケモンが出現しやすかったり、ゲームで使えるアイテムがもらえるのですが、そのポイントに中島公園の彫刻が含まれています。そのおかげで、「森の歌」近くではゲームプレイヤーで大盛況でした。大通公園も賑わっており、ゲームのために彫刻の前で立ち止まる人がかなり増えました。これをきっかけに札幌の彫刻に興味を持ってくれる人も増えてほしいなと思います。

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清掃中、背中の上にポケモンいましたが、これは偶然です。すみません・・・

 

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次回は大通公園の清掃。漁民の像〜若い女の像です。ちょっと範囲が広いので大変かと思いますが、次回もよろしくお願いします。

「彫刻セミナー開催」

札幌彫刻美術館友の会【彫刻セミナー】第1回 

ブロンズ彫刻の制作方法と屋外での保存の問題点=ロダン作品をめぐって
◇主催:札幌彫刻美術館友の会
◇共催:本郷新記念札幌彫刻美術館/札幌芸術の森美術館/武蔵野美術大学校友会北海道支部

開催日時:平成28年8月31日(水) 14:00~16:00(2時間)

会場:本郷新記念札幌彫刻美術館 本館研修室 

対象:彫刻家、美術館・大学などの学芸員・関係者、文化行政・文化財保存関係者、野外彫刻ボランティア、友の会会員など

定員:30名 先着順 受講料無料

司 会 :樋泉綾子 本郷新記念札幌彫刻美術館学芸員        

挨拶と紹介:大内 和 札幌彫刻美術館友の会 副会長           (5分)

講 師 :黒川弘毅  武蔵野美術大学造形学部彫刻学科 教授 

(1952年東京都出身、彫刻家、屋外彫刻調査保存研究会運営委員)   

演 題 :「ブロンズ彫刻の制作方法と屋外での保存の問題点-ロダン作品をめぐって」        (85分)

自由討論:会場との質疑応答         (25分)

閉会挨拶:亀谷 隆 武蔵野美術大学校友会北海道支部 会長        (5分)

終了 16時00分 

【本郷新記念札幌彫刻美術館開館35周年記念 ロダン展】 会期:7月9日~9月25日

 当日、ロダン展観覧をご希望の方は団体割引料金となりますので、美術館受付にお申し出ください。 [一般800円/65歳以上640円/高大生500円/中学生以下無料]

本郷新記念札幌彫刻美術館

所在地:〒064-0954 札幌市中央区宮の森4条12丁目  電話:011-642-5709

お問合せ先:奥井登代 札幌彫刻美術館友の会事務局 中央区旭ケ丘5-6-61

電話:090-1527-9009   E-mail: <toyookui@jcom.home.ne.jp>

パーマシールド

《母と子の像》山内壮夫作コンクリート(1961年)のパーマシールド塗装は晴天とそよ風に恵まれました。また手慣れた刷毛さばきで大変気持ちよく無事作業を終えることができました。作業内容は,前日洗浄されて十分乾燥したコンクリート表面にパーマシールドM12液(分子量が小さく、浸透性)を2回塗り、昼食を挟んで約2時間風乾させた後、ついでパーマシールドM18(分子量が大きく、表面塗装用)を二回重ね塗りして終了。この間に市内各所の公園内のバラを育て、管理しているボランテア団体の方が立ち寄って下さり、塗装作業をしながら公園を拠点にしたボランテア活動につぃて種々雑談を交わすことができました。
参加いただいた皆様、お疲れ様でした。(橋本)

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今月の学習会はドーム散策でした。

7月25日(月)、学習会として札幌ドームに点在する24点のアート作品のうち、開催予定のコンサドーレ札幌の試合のために、立ち入ることができなかった3点をのぞいて21点を鑑賞。参加者は11名、足に自信のなかった会員も爽やかな風の吹く絶好のピクニック日和の中、広い札幌ドームを難なく一周することができました。何度も訪れている大内副会長の案内で回り、高橋淑子さんの解説を聞きながらの散策でした。ドームは手入れされていましたが、傷みが出てきている作品もありました。
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國安孝昌《北辰の龍神 》      大岩オスカール《フェイジョン》

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 奥山喜生《立体空間より平面空間への還元》  (目地部分に化学反応で傷みが)

s-IMG_3242國松明日香《休息する翼》ちょっと休息したい場所です。
その後、清田区【しんえい四季のまち】まで車3台に分乗して足を延ばしました。ここは「いずみ」36号風見鶏にも記載(大内)のある計画団地で、造成にかかわった國松明日香氏の作品など6点の彫刻作品が心地よい公園の中に点在していました。近く改造の予定だそうですが、この良さを失わせないでほしいものです。

s-IMG_3245黒川晃彦《切り株に座って》

2016年「北の母子像」「平和のモニュメント」清掃活動

DSC01682 2016年7月17日(日)道庁赤レンガ前庭にある「北の母子像」「平和のモニュメント」の彫刻清掃を行いました。隣接する蓮池には、綺麗なグリーンの蓮の葉の間からピンクや白のハスが美しく咲き、観光客やそこを通る人達の目を楽しませてくれています。 初めに「北の母子像」から佐藤美保子さんの解説がありました。今回は高圧洗浄機を使わず雑巾で丁寧に洗浄し、ワックスを薄くまんべんなく塗り乾くのを待って最後に乾拭きです。ぴかぴかになった彫刻を見てすっきりとした気持ちになります。最近の清掃活動メンバーは、大学生や社会人なり立てくらいの若い方の参加が見られ、大変心強く嬉しく思っています。

2016/7/10 かもくま祭・彫刻たんけん隊

今日は中島公園で第40回目となる「かもくま祭」の日。
このお祭りの中で彫刻友の会は「彫刻たんけん隊」という子ども向けの彫刻清掃・解説ツアーを行う、
予定だったのですが…あいにくの大雨でした。

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それでも、雨にも負けず風にも負けず受付の準備をする会のみなさん。

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雨のためツアーは中止となってしまいましたが、
用意していたお菓子や、バルーンアートを、来てくれた子どもたちに配りました。
これが非常に大好評で、雨なのに気がつけばブース前に人だかりが!

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他にもヨーヨーすくい、輪投げなどのコーナーがあり、雨にも関わらず
どこも大賑わいでした。子ども達にとって遊びを前にしたら天気なんて関係ないみたいです。

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今年は残念なお天気でしたが、(とはいえ雨でしか味わえない面白さもありましたが)
来年こそは楽しい彫刻ツアーができるといいですね!

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午後は若干天気が回復し巨大人形劇の「岩見沢人」も無事開催されましたので、
おまけとして元気なお馬さんの写真を載せておきます。でかい!

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(太田)

2016年仙台旅行

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2016年6月21日(火)から2泊3日で、彫刻美術館友の会のメンバー10人で
仙台への研修旅行に行ってきました。
昨年秋のシンポジウムで意見交換をした時の仙台の活動に注目。彫刻清掃活動を研修する目的もありました。初日、二日と天候にも恵まれ10人乗りのレンタカーで快適でしたが、三日目は土砂降りの雨に見舞われました。お寺の長い階段も何のその、皆さん元気に着実に仙台での活動を行ってきました。
ここでは二日目、定禅寺通りでの彫刻清掃活動を中心に報告いたします。杜の都仙台は想像通り天高く伸びるケヤキ並木と彫刻が調和した素晴らしい街並みです。630
メートルにわたる定禅寺通りの中央に走る緑道にはグレコやマンズー、クロチェッティといったイタリアの著名な彫刻家の作品が点在します。
私たちは地元仙台の村上道子さんの説明を聞きながら、持参した雑巾で手の届く限り「水浴の女」「オデュッセウス」「夏の思い出」など3体を清掃しました。

s-DSC_7162伊達政宗が築いた仙台の本丸は、仙台市街が一望でき敷地内には慰霊碑も設置されています。明治35年に設置された「昭忠碑」(戦没者慰霊碑)の石塔のブロンズのとびは、 3・11震災の際塔上から落下し、現在東京のアトリエ「ブロンズスタジオ」で修復中です。10月下旬には修復が完了し基壇の上に設置する予定とお聞きしま した。これは戦前の金属供出を免れたブロンズ彫刻作品として大変希少価値のある作品で大きく羽を広げたとびを今も見ることができたら、どんなに素晴らしいかと 思いました。修復されたとびが、今回設置される場所は搭上ではなく下の基壇の上になるらしく、重く大きなブロンズは高さ20メートルの昭忠碑の上に再び乗せられる事 は残念ながら叶わないようです。仙台城石垣も一部崩れ、現在修復は完了したようですが、震災がもたらした被害の大きさは計り知れないと実感し、修復を進める関係者の力に感動いたしました。

DSC01605又定禅寺通り途中にある複合施設”メディアテーク“に立ち寄りました。ほとんどの壁がガラスで出来ていましたが、あの3・11震災の被害も受けながらガラス壁はほとんど損壊しなかったことには驚きでした。ただ内部は大変だったようです。館内は三浦課長に解説頂きました。最先端の設備を整えた様々な記録媒体(メディア)による情報発信基地としての役割を果たしているようです。

 

友の会行事として、道外への研修旅行は初めてでしたが、参加した皆さんには、大変有意義で喜んで頂けたようで嬉しく思いました。こうした成果、勉強になったことを生かし、今後とも力を合わせて友の会活動の深化と拡大に努めたいと思います。

道立近代美術館春の彫刻清掃活動

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 6月10日(金)北海道立近代美術館において、彫刻清掃活動が行われました。
(一社)北海道美術館協力会・札幌彫刻美術館友の会の共同イベントとして20名ほどの参加でした。小林副会長あいさつの後、園部学芸員の近美前庭にある流政之作「雲の砦Jr」、本郷新作「嵐の中の母子像」、正面入り口にある安田侃作「無何有」の解説がありました。隣接する知事公館前庭にある「サキモリ」を含め安田侃作「「意心帰」をそれぞれ分担して作業を進めました。
近代美術館・知事公館は、札幌中心部に残された、緑豊かな場所です。そんな中で北海道を見つめている彫刻・モニュメントの数々。美しい資源は私たちの大切な財産です、大切にしたいものです。
高圧洗浄機で「嵐の中の母子像」の基壇を洗浄した際、汚れで白っぽくなったレンガが赤くみるみる美しく蘇った様に、みんな「すご~い」と歓声が沸きました。

次回は6月19日(日)午前9:30~11:00中島公園~「鴨々川清掃活動」が行われます。
多数のご参加お待ちしています。

久米課長さんの勇姿160610 DSC01527

北海道立近代美術館の久米展示・作品課長が、大変精力的に活動してくださいました。
参加いただいた皆様大変お疲れ様でした。
次回北海道立近代美術館の清掃活動は、秋に実施されます。